2026-04-082026-04-09
朗読劇と生演奏ジャズのセッション!新感覚 SFジャズ朗読劇「プロトデウスの方舟」開幕!オフィシャル公演レポート
2026年4月7日あうるすぽっとにて、SFジャズ朗読劇「プロトデウスの方舟」が開幕。オフィシャルよりレポートが到着いたしました。
本作はオリジナルSFストーリーを総勢38名の声優による朗読芝居とジャズの生演奏で紡ぐ、新機軸の朗読劇プロジェクトの第1弾。
脚本は川本成が執筆し、演出も同氏が手掛けている。
全9公演、5名のキャストと2人の演奏家によって上演されるが、演奏家は共通しているものの、キャストの顔ぶれは回ごとに異なる。よってここでお伝えする初日公演の模様は、全公演に共通する事柄を中心にお伝えする。
舞台上には5本のマイクとアンティーク調の椅子が並び、傘のデザインが異なるフロアライトが2台立っている。舞台の最奥には中央に穴が開いた黒い幕。穴の周りにひび割れた赤い花弁のような意匠が描かれている。中心の穴から赤い意匠に向けては同心円が広がっており、惑星や天体を連想させる。マイクと幕の間には譜面台と電子ピアノ、サックス奏者用の椅子が置かれた演奏台がある。

すべての観客が着席すると、奏者が舞台上に登場し、ジャズの演奏が始まる。情感たっぷりのサックスと小気味の良いピアノの旋律が、観客を徐々に物語の世界へといざなう。床打ちのライトがまた洒落ていて、海外のジャズクラブのようなムードに開演前の緊張がほぐれる。
心地のよいスウィングが徐々にアップテンポになった頃、シックなタキシードや、フォーマルなドレスを纏った5人の演者が登場する。いよいよ幕開けだ。
物語は、荒廃した故郷を救うため、今まさに重要任務を終えた4人のクルーと、最新鋭のAIナビゲーションシステム〈プロト=デウス〉が、ミッションの完了を喜び合う場面から始まる。
頼もしいキャプテン、アンディ。
姉御肌のキアナ。
クールなパイロットのレオ。
最年少で見習いのケイ。
そして宇宙船に搭載されたAIシステムのプロトデウス。
プロトデウスはAIシステムながら、クルーと長旅を共にし、人間らしい言い回しや感情をかなり学習している。プロト、プロちゃんなどと愛称で呼ばれ、AIというよりは今や立派な家族の一員のような存在だ。
だが、キャプテンのアンディがプロトデウスに地球への帰還命令を指示した瞬間、状況は一変する。
「帰還座標に該当する星は存在しません」
帰るべき地球が存在しない、という信じがたい事実を繰り返し告げるプロトデウス。その声にミッション完了の喜びを分かち合った、先ほどまでの人懐っこさはない。
再び奏でられるサックスとピアノの音色とともに、クルーたちに混乱が訪れる。
不信、不安、疑念が船内と観客を飲み込んでゆく――
この作品の特筆すべき点のひとつは、ジャズと朗読劇、そしてSFと会話劇の喰い合わせの良さだ。息つく間もなく展開するドラマと、即興性のあるジャズとの相性は抜群で、登場人物の感情の起伏に生演奏が絶妙に連携する。観客は臨場感あふれる人間ドラマに、高い緊張感と集中力で没入していくことができる。台詞の裏で奏でられる劇伴と、物語の主旋律としてしっかり聞かせる演奏とのバランスも秀逸だ。
また、宇宙船という舞台は<究極の密室>。音のない宇宙空間であるがゆえに、人間と機器が発する音だけが、船内で起こる現実のすべてである。閉鎖空間で迫りくる制限時間、判断ひとつで生死を左右する状況下で、登場人物たちが発する息遣い、声音の変化、機器の起動音、警告音、その緊張感とリアリティたるや、ここが劇場ではなく宇宙船〈プロト=デウス〉の中ではないかと錯覚を起こすほどだ。
観劇の際は音の出る機器の電源を切って、日常から断絶された状態で開演を迎え、最後までこの物語に没入してもらいたい。
なぜなら全公演、一期一会であり、観客もまた物語の一部なのだから。








